どうも、NEKRAM0NSEEです。
今回はギターの塗装に柿渋を使ってみた時の話をしたいと思います。杉の板からギターを作ったときの話ですね。
普通、ギターの塗装と言えば、アクリルやラッカー、ウレタンなどの強力な塗膜で表面をコーティングするような塗装方か、オイルフィニッシュのように、塗膜を形成するタイプのオイルを使った塗装方があります。
杉の板から作ったボディには、あまりありきたりな塗装はしたくないと考えた私は、ネットで先駆者の方が試していた、「柿渋塗装」という塗装方にチャレンジしてみることにしました。
ちなみに柿渋という塗料は古くから日本で使われていた塗料で、渋柿の果汁を発酵させて作るものです。家の壁や柱などに塗って、防腐、防水効果を発揮していたそうです。独特な色味と塗膜形成効果があるようです。今は全然見かけませんが、安価で効果がある塗料ということで昔は家屋によく使われたみたいですよ。
今回はそんな柿渋を、あえてギターに塗って、和風で独特なギターに仕上げようというわけです。
使うのはこのボディですね。杉の板からDEANのMLシェイプを切り出したものです。
既に墨汁と砥の粉で染色、目止めは済んでいますので、これに柿渋を塗ってみることにします。現時点でボディには艶がなく、塗膜もありませんので、触ると墨が手に付くような状態ですね。
使うのはホームセンターで買ってきた柿渋。無臭タイプもありましたがちょっと高かったのと、乾かす時はどうせ屋外に置くのでいいかな、と思い普通タイプを買って来ました。これを刷毛で塗っていきます。
適当にペタペタ塗って。
全体に塗ってみました。うん、良い感じだけど
しっかしこれ臭っさいですね・・・
いや、まぁ柿を発酵させたものなので、強いにおいがあるということは知っていましたが、普通に柿が腐った匂いがします。
実家に生えてる柿の木が実ったとき、取らないで放置してると、そのまま柿が地面に落ちてぐちゃぐちゃになって、こんな感じの匂いを発していたのを覚えています。懐かしいですが、良い匂いではないですね。
まぁ、シンナーの匂いよりは耐えられるかなぁ。私はシンナーの匂いがどうにもダメなので。
さて、何はともあれ柿渋を塗ったので、これを乾燥させます。
塗装一回目です。触っても墨が手に付かなくなりました。塗膜が形成されているようです。わずかに艶のある部分も見受けられますね。さらに何回かこの工程を繰り返してみましょう。
5回ほど塗ってみました。艶がかすかに出てきています。
思ったよりいい感じですね。これを何回も重ね塗りしていけば、光沢が出てくるかもしれません。塗装も簡単ですし、塗料として普通に優秀ですよ。
しかし、今回は柿渋だけで仕上げるつもりはないので、ここにミツロウオイルを塗りこむことにしました。
荏胡麻油とミツロウを適当に混ぜて作った自家製ミツロウクリームです。これを先ほどのボディに塗っていきます。
左側がミツロウクリームを塗った状態です。つやつやですね。木目も際立っています。初挑戦ですが、これは良い塗装ですねぇ。これからも何回かやる機会があるかもしれません。
さて、最終的に柿渋からのオイルフィニッシュでこれくらい艶々のボディを作ることができました。化学塗料に頼らなくても結構いけるもんですね。まぁ、化学塗料を特別嫌っているわけではないですが、こういう結果を見ると、なんか伝統的な方法の底力を見せつけられているような気がしてワクワクします。
次は柿渋を重ね塗りする回数を増やして、光沢が出るまでやってみたいですね。
ちなみにこのギターに関しては、動画で工程をまとめています。もし興味がある方は見てみてくださいね。それでは、サヨナラッ!
「杉の板からギターボディを作るRTA 約60年と10か月Part2」