この記事は
自分の欲しいアルバムをあえて友達に送ってみよう!その1
の続きです。
wauさんに企画を持ち掛けてからしばらくして、ついに私の元にもwauさんからアルバムが届きました。それがこちらの6枚

ジャケぱっと見で何となくプログレっぽいのが多い気がしますね、さすがプログレ好きのwauさんです。
ちなみにこの中で名前を知っているのは五人一首、四人囃子、StevenWilsonですかね。ちゃんとアルバムを聞いたことのあるアーティストはいないです。
もしかしたら前に勧められて、この中から何曲か聞いたことあるのかもしれませんが、正直全然覚えてないのでノーカンです。
では最初に私の感想から。
NEKRAM0NSEEの感想
The Raven That Refused To Sing/ Steven Wilson
前にwauさんからSteven Wilson勧められてYouTubeで聞いた気がするんですが、このアルバムからではなかったかもしれないですね、どの曲だか全然わからなかったです。
プログレロックのちょっと激しめな感じです。結構ノリもいいと思います。Dream Theater好きな人はこっちも好きそう。ただ、メタル的なバカテクが出てくるかというとそうではなく、曲構成やメロディーに凝っている感じがしました。
アルバムの入りからパンチが効いていておしゃれなロックサウンドです。クールなカッコよさがありますね。各パートがうまい具合に見せ場を作っているのも、熱い感じがあって良いですね
普段泥臭いメタルばっかり聞いているので新鮮です。
どの曲が好きかと言われたら一曲目の ”Luminol”ですね。最初のベースがかっこいいです。10分以上ある曲ですが、緩急がうまいことついていて、飽きることなく聞けます。
昔wauさんがやってたバンドがあるのですが、音作りや雰囲気がそれとすごく似ていて「多分wauさんがやりたかった音楽ってまんまコレなんだろうな・・・」と思いました。
wauさんが魅了される理由も良くわかる気がします。実際すごく完成度の高いアルバムです。洗練された世界観があって、楽しみながら聞き終えることが出来ました。ドライブなんかで聞くのもよさそうですね。
So /Peter Gabriel
渋い顔したおっさんのアルバムです。誰かは全く知りません。たぶんプログレの人でしょう、wauさんが選んだアルバムですし。
一曲目の”RedRain”がまずカッコいいですね。歌ものですが、反戦歌っぽい雰囲気があって哀愁が漂っています。ジャンルは違いますがThe Cranberriesの”Zombie”と雰囲気が似ています。
二曲目の”Sledgehammer”という曲名で、Cannibal Corpse的な曲が来るかと思ったら全然違いました。すごいキャッチーで80~90年代洋楽ポップスのBESTとかに入ってそうな曲です。というかこの曲のイントロ、テレビでSEに使われてるのを聞いたことがあるような気がします。
なんとなくですけど、歌い方がPhil Collinsに似てるなぁと思いました。
三曲目の”Don’t give up”のベースがかっこいいです。やっぱりプログレ系はベースラインがかっこいいですね、その辺がメタルとの違いだと思います。
ジャケをみて一番期待値の低いアルバムでしたが、全体的に聞きやすいうえに歌メロやべースラインがかっこよく、楽しめるアルバムでした。おっさんとか言って悪かったなぁ、と思います。多分すごい大御所なんでしょうこのおっさんは。
IN MY ROOM /Jacob Collier
ポップ?ジャズ?ボイパ?という感じの不思議な音楽です。ジャケの部屋がもし本当に彼の部屋ならめっちゃ羨ましいな。
声の重ね録りをかなりしているようで、それをつかってボイパ的トリッキーなフレーズやゴスペル的な広がりのあるフレーズを多く聞かせてくれます。「THE 海外の宅録ミュージシャン」って感じがしますね。実際このアルバム宅録で作ったみたいですし。
全体的なノリはかなり良く、耳なじみも悪くないです。聞いている限り実験的な要素が強いアルバムでしたが、それにしては嫌味っぽい前衛要素はなく、聞き手のことを考えて作っている感じがあります。これは女の子とドライブしてるときに流してもよさそう。
9曲目にFrintstonesという曲があるのですが、「この曲どっかで聞いたことあるよなぁ・・・?」と思ったらコレでした。
ダイハツ・CAPAのCM(1998)
よくもまぁ20年前の車のCMで流れてた曲を覚えてたもんだ・・・・テレビっ子だったからかなぁ・・・
そんなことはさておき、洋楽好きで新しいもの好きの人にはお勧めできるアルバムだと思いました。唯一の難点はキラーチューンらしい曲が特になかったことですかね。実際私はFrintstonesのカバーが一番耳に残りました。
一触即発/四人囃子
日本のプログレバンドってことだけは知ってましたが、曲は一度も聞いたことがなかった四人囃子です。
日本語のプログレって今まで聞いたことなかった気がします。かなり新鮮ですね。プログレ特有のちょっと不気味な感じが、歌詞の内容と一緒に伝わってきて、かなり雰囲気が出ています。ベースラインもかっこいいです。
結構昔のバンドですが、今聞いても結構衝撃的です。音楽の作りの良さがあるからなんでしょうね。
3曲目の「一触即発」ではドラムとベースのヘドバンを誘うリズムパートに乗せてリードギターが鳴るイントロがかっこいいです。当時ではかなり前衛的な音楽だったんじゃないですかね、コレ。
私が全然詳しくないだけで、プログレ界隈ではこういうの当たり前だったのかもしれないですけど。
歌詞では「おまつり」のハッパ吸ったヒッピー感が好きです。
草木萌動 /長谷川白紙
ジャケを見た瞬間に「ボカロかこれ・・・?」と思いました。アニメ調(?)のジャケを見ると身構えてしまうメタラーです、私は。
とりあえず聞いてみると、サカナクション的な感じで一曲目が始まりました。いや、サカナクション全然詳しくないですけども。
プログレとかフリージャズ的な要素を混ぜ込んだ音楽ですね。不協和音やドラムを畳みかける感じ、あとシンセ。
それがボーカルの声質と、全体的な雰囲気でポップミュージックとしてまとまっている感じがしました。悪くはないですね。
2曲目に入っている「毒」という曲でドラムマシンのドコスカ音がずっと鳴っているのですが、それがMad capsule marketsに聞こえて、まったく曲の内容が頭に入ってきませんでした。これだからハードコアパンク好きは・・・
ポップミュージック感があるとはいえ、万人にお勧めできるか?というとそうでもないです。聞き手を翻弄するような曲展開が多く、そういった演出に対してポジティブなとらえ方ができる人でないと、あまり楽しめないと思います。
普段からフリージャズとか前衛的な音楽を聴いている人なら、楽しめるかもしれないです。
私はどちらも聞かないので楽しめはしなかったんですけども。
内視鏡世界/五人一首
日本のプログレメタルバンドです。プログレデスとかの話をしていると名前をちょいちょい聞くバンドだったので、今回一番期待していました。
結果から言うと「ちょっと期待しすぎたかもしれない」という感じでした。
サウンドとしては、シンセの入ったDream Theaterっぽいメロディラインや、Atheistのようなキチ系の展開に、女声のデス、クリーンボーカルを織り交ぜた、かなり意欲的な作風となっています。演奏の技術も高いです。
こう書くとベタ褒めしているようにも見えますが、これが実はそうでもない。
AtheistやDEATHやらCynicなどのプログレデスが大好きな私にとって、このバンドが持つ「Dream Theaterっぽさ」「Atheistっぽさ」が妙に中途半端に聞こえてしまうのです。
プログレメタル界隈の大御所はどれも唯一無二の世界観を持っていて、それが魅力となっています。ただ、それを抜き出して使ってみたところで、そのバンドを超えるような何かが生まれるとは思えません。特に二曲目の”ナレノハテ”なんかではそれが顕著だった気がします。
そして、テクニカルな演奏の中で女声ボーカルがちょっと浮いているのも残念ポイントでした。おそらくこれで独自性を出していきたいということのようですが、オーバーワーク気味で、かなり無理しているように聞こえます。
どうやらギタボでやっているようですが、これくらい仕事量多いなら専任ボーカルにしたほうがいいのでは?と思ってしまいました。
独自の世界観の構築という点で苦心しているバンドのように思えますが、四曲目の”人媒花”や五曲目の”無礙の人 ”では和風テイストをうまいこと使って自分たちの世界観を作り上げています。三味線っぽいリフが出てきたりお経みたいなフレーズが出てくるのが楽しいですね。
”人媒花” の「阿鼻叫喚あびきょ~か~~ん」っていうとこが好きです。
ちょいちょいボーカルが無理してる感じと、微妙なDream Theaterっぽいフレーズをどうにかすれば文句なしに名バンドだと思います
好きなジャンルのバンドだったので辛口になってしまいましたが、なんだかんだで気に入りました。2005年のアルバムだったので、解散しないでその後もアルバム出してるなら聞いてみたいですね。
wauさんのアルバムセレクト理由
まえがき
6枚のCDの選考基準は、「CDとしてわたしが欲しいと思ったもの」です。つまり、おすすめとはちょっと違います。
Raven~は普段からサブスクリプションでよく聴いていたからCDという形で欲しかったもの。IN MY ROOM, Soの2枚はミックスが非常に綺麗と評判だったため。
長谷川白紙はこの中でも比較的若く新しいアーティストで、サブスクリプションで聴いて興味を持った。四人囃子、五人一首は数曲知ってはいるがアルバム単位で聴いたことがなかったので選定。
NEKRAM0NSEEさん向けにおすすめ!という視点で選んだものは一つもないです。本当に自分が欲しいものだけでした。
The Raven That Refused To Sing/ Steven Wilson
現代プログレにおける最重要人物といわれるSteven Wilsonのソロ作(本人はプログレといわれるのは好きじゃないらしい)。アルバムごとに作風が変わるのだが、このアルバムはメタルのような硬質な音と長尺で複雑な展開が特徴。
1曲目のベースリフが音・フレーズと共に非常に好み。タイトル曲の6曲目は最初はライブで観たが、映像の構成と共に非常に感動してしまった。Steven Wilsonを好きになるきっかけとなった曲。
So /Peter Gabriel
Genesisの元フロントマンであるPeter Gabrielのソロ作。ミックスの教本などで「ミックスが非常に綺麗で、スタジオのリファレンスアルバムとして必携」とか書いてあったので選定。のちに自分でも買いました。
Peterがいた頃のGenesisはがっつりとプログレだったが、ソロになってポップソングを歌いあげていて、しかしこれはこれでガッチリハマっている。
この年代のドラムの音が結構好きで、スネアの残響が気持ちいい。
IN MY ROOM /Jacob Collier
天才的マルチプレーヤーのJacob Collier、という触れ込みでYoutubeで見てみたら本当に色んな楽器を扱って自主製作MVをアップロードしていて非常に気になった。
全編通して綿密なコーラスワーク、多重録音による音の厚みが聴いていて心地よい。
一触即発/四人囃子
日本のプログレの第一人者ともいえるバンド、四人囃子の1st。わたしはベスト盤で#3と#4を聴いてました。
ギターのコードワークとコーラス加減がPink Floydを彷彿とさせる(ほとんど同時期のバンドらしい)
4曲目、”一触即発”の6/8のリズムがすっごい好き。プログレといえばこのリズム!って勝手に思ってしまうくらい。インストパートでせめぎ合ったのちに開放されて歌パートに入るって曲はプログレあるあるだけど、この展開は本当に好きだ。
草木萌動 /長谷川白紙
Twitterのタイムラインで流れてきて、聴いてみたらやたら多い情報量に圧倒されながらもちょっとハマった1枚。
スケールから外れてんじゃないかって感じのコードワークやせわしないリズム隊、左右に揺れ続けるパンが全体的に気持ち悪さを醸し出していている。メロがわかりやすくキャッチーなので対比構造になっていてよい。参考にしたい。
内視鏡世界/五人一首
この1枚だけサブスクリプションで聴けなかったのでコメントが非常にしづらい。
Youtubeでアップされていた何かの曲を聴くに、和製プログレデスだと思う。Amazonのほしいものリストの底に眠っていたので、いい機会だと思ったので選定。レビューで楽しもうと思う。
企画を終えて
すごく楽しい企画でしたね!
というかPeter GabrielってGenesisのボーカルだった人かよ!大御所じゃねーか!
それはさておき、wauさんとは普段アーティストをオススメし合ったりする仲ではありますが、ある程度相手の好みを考えたうえですすめていたり、オススメされても話半分で聞いてることがほとんどでした。
いざ「本当に自分が聞きたいアルバム」を企画としてお互いに聴いてみると、今までとは聴き方も全く違いますし、「この人はこういう音楽が好きなんだな」というのが以前よりもはっきりとわかったような気がしました。
ただ、目新しさ、思い出といった、割と刹那的な感情で選んだアルバムは相手に届きづらいのかなと思いました。
企画開始当初にハマっていたアーティストや、話題になったアーティストなんかは、自分がハマった時の熱が相手にまったく伝わらない状況では気に入ってもらうことが難しいのでしょう。
それにしても、アーティストのどこを聴くかは人によって全然違いますね。wauさんは作曲やミックスをしているので、展開やミックスの仕方にフォーカスを当てていることが多かったです。
一方でメタラーでギタリストの私は、曲のリフや他のアーティストとの類似性に着目することが多かったですね。
wauさんも、普段全然聞かないジャンルをガッツリきけて、いいインプットになったとのこと。お互いに音楽的な刺激を受けつつ楽しむことができました!
ただ、1万円分のアルバムは少し多すぎる気もしましたね、全部聞くのが結構大変でした。アルバム1~2枚とかで良いかもしれません。
今回は趣味がわかる相手とアルバムを送り合いましたが、もっとオープンに色々な人とオススメを交換し合うのも面白いと思いました!
以上、皆さんも音楽仲間なんかとアルバムを送り合ってみてはいかがでしょうか。
では、今回はこの辺で、サヨナラッ!